2010年09月09日

■大学のオーケストラの宿命と企業の宿命は一緒だ。

僕たちが執行をとった東京薬科大学ハルモニア管弦楽団の第5回定期演奏会で僕がトランペットを吹いてから、30年たって、第35回定期演奏会に我が家の次女がホルンでのっかるというのは、なんとも感慨深い。

その次女は実は高校のブラスバンド部でトランペットを吹いていた。(父親の僕が強制した訳ではなく、娘が自分で勝手に決めたのだが、父親がペットを吹いていたのは影響した、と本人が言っていた。僕は嬉しかったけどね。)

娘がブラバンでペットを吹いていて、さらに高校2年で、理科系に進んだので、こりゃいいぞ、と何気なく東京薬科大学のハルモニアオーケストラの定演を観に連れて行ったりした。
結局、高校の先生が奨める六大学を蹴って、東京薬科大学の生命科学部に推薦で入学が決まった。

あとは、ハルモニアオーケストラに入部するかどうかがだったが、順調にオケに入ることだけは決まったが、何を吹くかで悩んでいて、結局、ホルンに変わった。
残念だった。もしペットを吹いていたら、鈴木行一さんに親子二代でペットとして指揮してもらえたのに。

でも、娘の気持ちも分かる。僕も、もし、今度、新しく楽器を演奏するなら、管楽器ならホルン、弦楽器ならチェロをやりたいと僕も昔から思っていたもんな。

そして、鈴木行一さんの急逝により、鈴木さんに親子二代を指揮してもらう、というささやかな夢も露消えた。

ところで、僕が東薬のオケを辞めずにずっと30年間、ペットを吹いていたら、それなりの演奏者になっているだろう。
しかし、大学のオーケストラの宿命がまっている。つまり、上手くなった人から順番に辞めていく(つまり4年生で卒業していく)、そして未経験者の1年生が代わりに入部してくる。

つまり、上手くなった人が必ず去っていく、そして、未経験者が代わりに入ってくるという宿命がある。
だから、ちょっと考えると、大学のオケは「ある一定のレベル」まで行ったら、そこで停滞する、と思われる。

しかし、実はそんな大学オケも、上手くなっていくのだ。
これは「組織の中で、ノウハウが蓄積され」、それが後輩にうまいぐあいに伝授されていくためだ。

所謂、ナレッジマネジメントがうまく働いている、ということになる。
暗黙知が言語化(表出化)して、それが代々に受け継がれていき、練習方法なども改善される。

指揮者の鈴木行一さんも、そのあたりが分かってきて、指導方法も毎年、工夫されていた。


それと、入部希望者が増えると、経験者が増えたり、もともと音楽のセンスのある人が入部してくる確率も高くなる。
それにしても、毎年、バイオリンの経験者が必ず、1学年に1人はいる、というのも奇跡だ。
だって、みんなの周りで高校時代にバイオリンの弾いていた、という人って、何人いますか? しかも理科系で。
僕なんか新潟の田舎だったので、ピアノを学んでいる人はいたが、バイオリンを学んでいる人って、皆無でした。


さて、ここからが問題です。

皆さんの企業では組織の知恵が次の世代に伝授されていますか?

団塊の世代がいっきに定年退職して、その世代の人が蓄積していたノウハウ(暗黙知)が退職していく人とともに消失していくのではないかと、かなり真剣に企業は、それを考えていた。
たとえば、その暗黙知をマニュアル等にしてきただろうか?
あるいは、次の世代のリーダーを育てるために、シニア世代のノウハウを伝授してきただろうか?

(*ナレッジ・マネジメント→ http://home.att.ne.jp/sea/tkn/Issues/Issue-KM.htm )

大学のオケは4年間という短期間だが、企業でも、30年という単位では、同様のことが起こる。

貴重な人生体験を持っている先輩社員の暗黙知がうまく次世代に伝わっていくだろうか?

そんなことを日頃から行っているオーケストラと企業だけが21世紀を生き残れる。




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