これが実に僕にはうけた。
まず、舞台が我が家に近い。
僕が今、住んでいる国立市がそのまんま出てくる。
そして、この小説のテーマが『熱血!』高校野球なのだ。
よくありがちなテーマだが、弱小、万年出ると負けの高校の野球部に、ある日、思わぬスーパー助っ人が入部して、というストーリーだ。
これだけだと、あぁ、『タッチ』みたいに? となるかもしれないが(事実、僕はそう思った)、そうではない。
小説には1985年時の世相として『夕焼けニャンニャン』が出てくるし(懐かしい!)、野球部の部員は煙草を吸うし、そのまんま、自分の高校時代を思い出してしまった。
ところで、この小説だが、途中でのどんでん返しが、実にいい。
そして、そこからラストまでが実に鮮やかだ。
ちょっとひねくれた青春小説として、かなりいい出来栄えだ。
●1985年の奇跡

●1985年の奇跡 (双葉文庫)
ところで、この作家、五十嵐貴久のデビュー作の『リカ』が、これまた凄い。
実に恐怖なホラー小説で、第2回ホラーサスペンス大賞を受賞している。
どうして、こんな小説を書く人が『1985年の奇跡』のような小説を書けるのか、この作家の才能ほうがよほどミステリーでホラーなのだ。
●リカ

●リカ (幻冬社文庫)
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