長期戦略指針「イノベーション25」の最終とりまとめが5月25日付けで発表された。
僕が気に入ったところを以下に抜粋するが、その中でも、僕が最も気に入っているのは、最後に書かれているこの文である。
●『10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである』
そして、その人つくりはでは、どんな人を目指すべきかというと次のような文がある。
●『シーズを見つけ、生かすも殺すも、企業であり起業家精神である。』ここでは「起業家精神」が挙げられている。
また、組織として目指すべき姿として、次の文がある。
●「出る杭」を伸ばす等人材育成が最重要
●『従来の組織やタテ社会の都合を見ていては出てこない。』
●『従来の権威が後退し、一人ひとりの生活者に「力」が与えられている。』
●『イノベーションは結果として創造的破壊であるので、既存レジームの中で成功してきた組織ほど、その導入に躊躇し、既存の仕組みに安住し、抵抗し、対応が遅れる。』
●一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁、そして大学、企業、府省等々どこの組織にもあるタテの壁を取り払うこと、そして既存の状況に満足することなく、常に、柔軟に、積極的に革新を続けることが重要である。
長期戦略指針としての「イノベーション25」が最終的に提唱しているのは次のことだ。
●『社会に存在する変化を拒む様々な壁と抵抗を撥ね退けてイノベーションを起こしやすい仕組みを開発しようというシステム的、実践的、政策的アプローチを提唱している』
●そして、10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである。
製薬業界も歴史の長い、成熟産業だ(IT業界などに比べたら)。
ずいぶんと「一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁、そして大学、企業、府省等々どこの組織にもあるタテの壁」があると僕は思う。
また、これからの治験や新薬の世界同時開発を目指すとき、もっとも重要なことは「社会に存在する変化を拒む様々な壁と抵抗を撥ね退けてイノベーションを起こす」ことだ。
治験の活性化に頑張る製薬業界が目指すべき「イノベーション25」⇒10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである
まずは、みなさん、「一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁」を取っ払うところから、始めてみませんか?
◆◇◆◇長期戦略指針「イノベーション25」最終とりまとめ(平成19年5月25日)の目指しているものの抜粋(ホーライ版)◆◇◆◇
●本報告書では、イノベーションが持続する日本の実現に向けて、技術革新、社会制度の刷新、人材の育成、国民意識改革などのイノベーションを示した。
これらすべての分野がそれぞれ大きな挑戦であるが、中でも困難なことは、イノベーションを起こす本質である、社会イノベーション、人材イノベーション、そして政策イノベーションである。
●20年後、イノベーションで何が起こるのかを正確に予測することは困難である。これがイノベーションの本質である
●相当な覚悟を持つべく国民の意識改革の必要がある。
●イノベーションは単なる技術革新ではない。新しいニーズを掘り起こし、生活様式を変え、社会制度自体を変革する点に本質がある。
●イノベーションの本質は、既成の概念や体制、制度にとらわれない、社会や企業の成長持続に必須な革新をもたらす創造的破壊にある。
アイデアや発見・発明を社会へ広げ、新しい価値を提供し、社会自体を革新するところにこそ意味がある。
この10年間にインターネットや電子メールが普及したのは、技術革新に加え、わが国では規制緩和が大きい。
こうした技術変革は予想できないものもあり、柔軟に、しかも速やかに対応する社会制度と構造革新、つまり社会イノベーション、そして政策イノベーションが重要である。
●日本発のイノベーションの成果は今も多い。
ハイブリッドエンジン、フラットパネル等々のものづくりの分野だけでなく、意表をつく革新的な世界的製品(例えば「Wii」)、サービスが出ている。
●従来の組織やタテ社会の都合を見ていては出てこない。
起業家精神あふれる人たちが数多く出現し、出会い、健全に競争し活躍できる社会、このような人たちが次々と国境を越えて活躍する環境を整備する。
すなわち、人材イノベーション、そして社会イノベーションが我々の目指すべき方向である。
●研究や技術革新を進める以上に、その成果をいかに迅速に社会に届けるかが問われているからこそ、この十年で「科学技術への投資」に加え「イノベーション」が表舞台に出てきた。
だから、イノベーション政策でも、シーズを組み合わせニーズとマッチングさせるプロセスを加速する側面に期待が集まるのである。
シーズを見つけ、生かすも殺すも、企業であり起業家精神である。
●重要なのは、既成の組織の枠組みを超えて、一人ひとりの個人力発揮の可能性を広げることである。
ネットワークを通じ、国境を越えたフラットな人間や企業の関係が構築されると、それ自体が新たなイノベーションの土壌になる。
従来の権威が後退し、一人ひとりの生活者に「力」が与えられている。
●イノベーションは結果として創造的破壊であるので、既存レジームの中で成功してきた組織ほど、その導入に躊躇し、既存の仕組みに安住し、抵抗し、対応が遅れる。
この対応の遅れはグローバル時代にあっては、国家、組織、個人あらゆるレベルの競争力を失わせことになりかねない。
一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁、そして大学、企業、府省等々どこの組織にもあるタテの壁を取り払うこと、そして既存の状況に満足することなく、常に、柔軟に、積極的に革新を続けることが重要である。
●つまり、「イノベーション25」は科学技術や技術革新を超えて、広範囲な社会、人材、そして政策イノベーションを阻害する既得権、既存社会的要因を徹底して排除し、イノベーションを力強く推進するという趣旨であり、社会に存在する変化を拒む様々な壁と抵抗を撥ね退けてイノベーションを起こしやすい仕組みを開発しようというシステム的、実践的、政策的アプローチを提唱しているのである。
そして、10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである。
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